
鹿(しか)
鹿(しか)はシカ科の動物の総称です。鹿といえば奈良公園の鹿がよく知られていますね。春日大社に祭られている神様は、鹿島神宮から白い鹿に乗ってきた武甕槌命(たけのみかづちのみこと)という神様です。奈良公園の鹿はその鹿の子孫とされていて、大切に保護されているのだそうです。
鹿(しか)を詠んだ歌
鹿(しか)を詠んだ歌は、68首にもなります。そのほとんどは、鹿の鳴く声を詠んだものです。歌の中では、鹿・さ牡鹿・猪鹿(しし)などという形で詠みこまれています。また、鹿とともに萩を同時に詠みこんだ歌が多く見られます。
0084: 秋さらば今も見るごと妻恋ひに鹿鳴かむ山ぞ高野原の上
0405: 春日野に粟蒔けりせば鹿待ちに継ぎて行かましを社し恨めし
0478: かけまくもあやに畏し我が大君皇子の命の.......(長歌)
0502: 夏野行く牡鹿の角の束の間も妹が心を忘れて思へや
0570: 大和へに君が発つ日の近づけば野に立つ鹿も響めてぞ鳴く
0953: さを鹿の鳴くなる山を越え行かむ日だにや君がはた逢はざらむ
1047: やすみしし我が大君の高敷かす大和の国は.......(長歌)
1050: 現つ神我が大君の天の下八島の内に国はしも.......(長歌)
1053: 吾が大君神の命の高知らす布当の宮は.......(長歌)
1262: あしひきの山椿咲く八つ峰越え鹿待つ君が斎ひ妻かも
1511: 夕されば小倉の山に鳴く鹿は今夜は鳴かず寐ねにけらしも
1541: 我が岡にさを鹿来鳴く初萩の花妻どひに来鳴くさを鹿
1547: さを鹿の萩に貫き置ける露の白玉あふさわに誰れの人かも手に巻かむちふ
1550: 秋萩の散りの乱ひに呼びたてて鳴くなる鹿の声の遥けさ
1561: 吉隠の猪養の山に伏す鹿の妻呼ぶ声を聞くが羨しさ
1576: この岡に小鹿踏み起しうかねらひかもかもすらく君故にこそ
1580: さを鹿の来立ち鳴く野の秋萩は露霜負ひて散りにしものを
1598: さを鹿の朝立つ野辺の秋萩に玉と見るまで置ける白露
1599: さを鹿の胸別けにかも秋萩の散り過ぎにける盛りかも去ぬる
1600: 妻恋ひに鹿鳴く山辺の秋萩は露霜寒み盛り過ぎゆく
1602: 山彦の相響むまで妻恋ひに鹿鳴く山辺に独りのみして
1603: このころの朝明に聞けばあしひきの山呼び響めさを鹿鳴くも
1609: 宇陀の野の秋萩しのぎ鳴く鹿も妻に恋ふらく我れにはまさじ
1611: あしひきの山下響め鳴く鹿の言ともしかも我が心夫
1613: 秋の野を朝行く鹿の跡もなく思ひし君に逢へる今夜か
1664: 夕されば小倉の山に伏す鹿の今夜は鳴かず寐ねにけらしも
1678: 紀の国の昔弓雄の鳴り矢もち鹿取り靡けし坂の上にぞある
1761: 三諸の神奈備山にたち向ふ御垣の山に秋萩の..........
1762: 明日の宵逢はざらめやもあしひきの山彦響め呼びたて鳴くも
1790: 秋萩を妻どふ鹿こそ独り子に子持てりといへ.......(長歌)
1804: 父母が成しのまにまに箸向ふ弟の命は朝露の.......(長歌)
2094: さを鹿の心相思ふ秋萩のしぐれの降るに散らくし惜しも
2098: 奥山に棲むといふ鹿の夕さらず妻どふ萩の散らまく惜しも
2131: さを鹿の妻どふ時に月をよみ雁が音聞こゆ今し来らしも
2141: このころの秋の朝明に霧隠り妻呼ぶ鹿の声のさやけさ
2142: さを鹿の妻ととのふと鳴く声の至らむ極み靡け萩原
2143: 君に恋ひうらぶれ居れば敷の野の秋萩しのぎさを鹿鳴くも
2144: 雁は来ぬ萩は散りぬとさを鹿の鳴くなる声もうらぶれにけり
2145: 秋萩の恋も尽きねばさを鹿の声い継ぎい継ぎ恋こそまされ
2146: 山近く家や居るべきさを鹿の声を聞きつつ寐ねかてぬかも
2147: 山の辺にい行くさつ男は多かれど山にも野にもさを鹿鳴くも
2148: あしひきの山より来せばさを鹿の妻呼ぶ声を聞かましものを
2149: 山辺にはさつ男のねらひ畏けどを鹿鳴くなり妻が目を欲り
2150: 秋萩の散りゆく見ればおほほしみ妻恋すらしさを鹿鳴くも
2151: 山遠き都にしあればさを鹿の妻呼ぶ声は乏しくもあるか
2152: 秋萩の散り過ぎゆかばさを鹿はわび鳴きせむな見ずはともしみ
2153: 秋萩の咲きたる野辺はさを鹿ぞ露を別けつつ妻どひしける
2154: なぞ鹿のわび鳴きすなるけだしくも秋野の萩や繁く散るらむ
2155: 秋萩の咲たる野辺にさを鹿は散らまく惜しみ鳴き行くものを
2156: あしひきの山の常蔭に鳴く鹿の声聞かすやも山田守らす子
2220: さを鹿の妻呼ぶ山の岡辺なる早稲田は刈らじ霜は降るとも
2267: さを鹿の朝伏す小野の草若み隠らひかねて人に知らゆな
2268: さを鹿の小野の草伏いちしろく我がとはなくに人の知れらく
2277: さを鹿の入野のすすき初尾花いづれの時か妹が手まかむ
3099: 紫草を草と別く別く伏す鹿の野は異にして心は同じ
3278: 赤駒を馬屋に立て黒駒を馬屋に立ててそを飼ひ.......(長歌)
3344: この月は君来まさむと大船の思ひ頼みて.......(長歌)
3248: 安達太良の嶺に伏す鹿猪のありつつも我れは至らむ寝処な去りそね
3530: さを鹿の伏すや草むら見えずとも子ろが金門よ行かくしえしも
3674: 草枕旅を苦しみ恋ひ居れば可也の山辺にさを鹿鳴くも
3678: 妹を思ひ寐の寝らえぬに秋の野にさを鹿鳴きつ妻思ひかねて
3680: 夜を長み寐の寝らえぬにあしひきの山彦響めさを鹿鳴くも
3874: 射ゆ鹿を認ぐ川辺のにこ草の身の若かへにさ寝し子らはも
3884: 弥彦神の麓に今日らもか鹿の伏すらむ皮衣着て角つきながら
3885: いとこ汝背の君居り居りて物にい行くとは.......(長歌)
4297: をみなへし秋萩しのぎさを鹿の露別け鳴かむ高圓の野ぞ
4319: 高圓の秋野の上の朝霧に妻呼ぶ壮鹿出で立つらむか
4320: 大夫の呼び立てしかばさを鹿の胸別け行かむ秋野萩原
