マンホールの”輪”が広がって

月刊下水道2000年3月号エッセイ「くらげ(水母)」より

 旅で気づいたマンホールの面白さ
 私はインターネット上に「マンホール友の会」という日本全国のマンホールのふたの写真を掲載したホームページを作って日夜、マンホールのすばらしさを世界の人々に広めている。(http://www2c.airnet.ne.jp/manhole/)
 「月刊下水道」を毎月読んでいる皆さんは、下水道にはマンホールというものがあって、そのふたには市町村の花や観光名所などがデザインされた絵が描かれている、ということはご存じであろう。しかし、世間一般の人々には以外と知られていないのである。
 私は旅行が趣味で学生時代はよく日本全国へ旅行へ出かけていたが、マンホールの存在にすら気づかなかった。社会人になって下水道の仕事に携わるようになって初めてデザインマンホールの存在に気がついたのである。インターネットを始めたのと同じ頃である。最初の頃は自分の趣味(鉄道、マンガ)のホームページを見る程度で、ホームページを自分で作ろうなどとは夢にも思っていなかった。
 人生を変えたパソコンショップ
 しかし、人生というものはほんの些細なことから急展開を始めるものである。
 ある日パソコンショップをうろついていたらデジタルカメラが安かったのでつい衝動買い、その後ワープロソフトのおまけについてきたホームページ作成ソフトを使ってみたらこれが意外と使いやすい、じゃ、何か作ってみるか、おおそういえばこの前和歌山に旅行に行ったときデジタルカメラでマンホールの写真を撮ったな、よしこれをテーマにしよう。
 てな感じで1997年6月、「マンホール友の会」は、名古屋市、大阪市、尼崎市、和歌山市などほんのわずかの市町村のマンホールを紹介することからスタートした。
 だんだんと、はまってゆく・・・・
 自分のホームページを持ってから私の生活は大きく変わり始めた。
 当時、メールアドレスなど持っている人は私の周りにはほとんどなく、メールはほとんど来なかったのだが、見知らぬ人から「おもしろいホームページですね。」などとメールが来るようになった。中には「ホームページに載せてください。」と、マンホールの写真を送ってくれる人も現れた。1人だけで全国のマンホール写真を集めることなどほぼ不可能であるから、こういったメールは本当にうれしかった。
 自分も負けてなるものかと、休みのたびに全国各地へ旅行に出かけるようになった。列車に乗って、駅で降り、マンホールの写真だけ撮ったらすぐ列車に乗ってまた降りる、ただやみくもにただマンホールに会いたくて毎日を繰り返す旅行。観光名所など見向きもしない。本人は結構楽しんでやっているが、はたから見ればただのバカである。
 しかし、せっかく降りても駅前にはマンホールがなくて悔しい思いをする、撮りたいマンホールが車の多い車道の真ん中にあって命がけで写真を撮りに行く、毎週土日は大量の写真の整理とホームページの更新作業に費やされる、などつらいことも多い。
 「何でこんなことしてるんだろ? やめようかな。」と思うこともよくあった。しかし、ホームページをいつも楽しみにしている人、励ましのメールを送ってくれる人たちの期待を裏切ることは出来ないとがんばってきた。
 予想外の反響
 そうこうしているうちにホームページの方はどんどん規模が大きくなってきた。
 ある日、いつもメールをもらっている人から「友の会という名前なのに会員は募集しないのですか?」と聞かれたので、冗談半分で会員を募集したら、50人以上も会員が集まった。ホームページに来た人たちがホームページにメッセージを残すことの出来る「伝言板」を設けたら、毎日いろいろな話題が出て盛り上がるようになった。
 そしてホームページ開設約2年半でついに収録市町村が1000を越えた。ここまで来ることが出来たのもホームページを見てメールや写真を送ってくれた人達のおかげである。インターネットを通じて「マンホール」というテーマで集まってきた人々の輪がここまで大きくなるとは正直思わなかった。
 マスコミの取材で、気分は有名人
 去年の暮れ、仙台の新聞社からマンホールについて取材したいとの依頼があり、東北地方の会員を紹介したのだが、その新聞記事が思った以上の反響があり、仙台がマンホールで盛り上がった。
 今年の初め、私も是非その盛り上がりを実感したいから1度仙台で会員のみんなで集まろうと言うことになった。軽い気持ちで仙台に行ったらなんと、地元のテレビ、ラジオ、新聞の取材があり、ちょっとした有名人になってしまった。ここまで大事になってしまって本当にびっくりした。
 普段は、メールや伝言板だけの付き合いで、顔を合わせるのはこれが初めてであったが、マンホールを話題にたくさんの人といろいろな話をすることが出来て本当に楽しかった。メールだけでなく実際に会うことも大切だな、と思った。
 マンホールの魅力とは
 ここまで夢中になることの出来るマンホールの魅力とは何であろうか?
 私は子供の頃から地図を見るのが好きで、この町はどんな町なのかなといろいろ想像するのが好きであった。その延長かもしれない。マンホールを見ると、その町が何をPRしたいのか、ということが見えてきて楽しいのである。
 ただ単純に町の花や木をデザインしたものは個人的にはあまり好きではない。町の有名な観光地や祭りなど町の特徴がよく出ているマンホールの方が好きである。絵のないデザインであっても戦前からあるような古いふたはその町の歴史を感じることが出来て魅力的である。
 いいマンホールが見つかると退屈な町並みが楽しげに見えてくる。下水道や町のPRのため、マンホールはもっと注目されるべきであると思う。みんなにマンホールに興味を持ってもらいたい・・・。
 今日も魅力的なマンホールを探し求めて私は歩き続けている。

ノートPC 仙台オフ会集合写真
愛用のノートパソコン 仙台の青葉城趾にて
後列左より会員NO.1浅海さん、会員NO.14スイスイさん、友の会会長。
前列の2人は会員NO.43大内美貴子さん、NO.54大内杏太くん姉弟。

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