湘南どっこい神輿

ここでは、私が最もよく担いでいる「湘南どっこい神輿」について説明いたします。
神輿は主に『濱降祭』に参加している神社神輿が参考です。
参考写真は当會の神輿及び神社神輿を用いてます。

1.神輿の特徴
まずは、神輿本体の特徴について説明いたします。本体の上から順に説明します。
1.1.大鳥
殆ど大鳥(鳳凰)が乗っております。写真は寒川神社のものです。
この大鳥の特徴としては、胴と尾の間に垂直に立っている羽が無いものが多く見られます。
また、前傾姿勢で飛び立とうとする姿を表しているものも多く見受けられます。
1.2.屋根
唐破風が多くを占めており、吹き返しは付いていないのが殆どです。
唐破風の上には鬼板がついております。
ごくまれに延屋根のものもあり、平塚方面では更に吹き返しが付いているものもあります。
1.3.蕨手
野筋の先がそのまま蕨手になっており、軒の上にあります。
先端は大きく内側に巻いています。これは大鳥から蕨手に掛けられている捩り(もじり)が晒しを用いているため細く、
内側にグッと巻いてある方がバランスが良い為と思われます。
1.4.胴
四方扉の型式が主流となってます。
1.5.提灯
胴の四隅に、軒下から神社名等の描かれた大きな桶型提灯が吊るされてます。
寒川、茅ケ崎方面は赤の提灯ですが、平塚方面は白の提灯が多いようです。
この胴に提灯を飾るのは、どっこいではありませんが、秦野の神輿にも数基見られ、相州型の特徴と言えます。
1.6.台輪
側面に二個ずつの環(把手)がついてます。箪笥の引き手のような形をしているため、通称「タンス」と言われてます。
担ぐ際には、一人で両手にこの環を持ち、台輪に打ちつけてリズムを取ります。
このタンスの音も神輿によって変わり、神輿自慢の種になります。
元々、この環は神輿を持ち運ぶ際の取っ手とだとも言われてます。
この環は相州神輿に多く見られ、秦野の神輿の場合は、捩を結びつけております。
1.7.輿棒(轅:ながえ)
二天棒です。担ぎ手は輿棒の内側に入り、反対の棒に手を突っ張って担ぎます。
棒には綱が付けられ、これを引っ張って舵取りをします。
1.8.捩り(もじり)
白い晒を大鳥の胴から蕨手へ、そして輿棒へまわします。また、蕨手から蕨手へ唐破風の上を通して掛け渡します。
寒川神社等数社は紫の飾り綱を使用してます。また、平塚方面では紅白の綱のところもあります。
1.9.その他
駒札は殆ど無く、浜降祭などではその代わりに布に神社名を書いたものを大鳥の前に掲げます。
は蕨手から輿棒へ渡す捩の途中に一つないし二つ付けます。その場合も直にはつけず、長めの晒や編みこんだ紐に鈴をつけてから括ります。鈴を鳴らすのが良い担ぎ方だとも言われています。
胴に網を掛けているものもあります。これは胴体部の彫刻を守るためとか漁の大漁祈願のためとも言われてます。
紙垂は胴に付けます。寒川神社系は大きい物を二組づつ四面に、鶴嶺八幡宮系は小さいものを四組づつ四面に垂らします。
江戸神輿等に見られる瓔珞、風鐸は付いてません。
2.地域
これはもちろん湘南地区(寒川、茅ケ崎、藤沢、鎌倉)を始め、県央から西部に掛けて各地で担がれてます。
この他に、山形や長野、群馬等々、各地に広まっているようです。
3.担ぎ方
担ぎ手は棒の内側に入り、反対の棒に手を突っ張って担ぎます。 タンスの音と「どっこい、どっこい」、「どっこい、そ〜りゃ〜」、「よ〜い、よいと」等のマイク(拡声器)の掛け声に合わせて、 ゆったりとしたテンポで膝を大きめに屈伸して担ぎます。
下の神輿の絵をクリックすると、掛け声の音声が流れます。
途中、甚句が入り、「よい、よい」、「よいしょ」等の合いの手を入れます。
甚句の終わりは比較的大きく上下に揉む所や、大きく変化させない所と、担ぐ神輿によって様々です。
これは神輿への入り方にも言え、「華代わり」と言われる所は 自分の背の合った入りたい場所に入り、「トコロテン」と言われる所は 台輪の際から入り、順番に前に進んで行きます。
この入り方を間違えるとトラブルの元になるので、担ぐ場合はそれぞれの神輿に合った入り方をしましょう。
自己流・自會流を貫くことは絶対に止めてください。
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参考文献
「相模の神輿A 浜降祭と神奈川の神輿」 監物恒夫著  株式会社アクロス
「神輿図鑑1 木村喜久男編」 株式会社アクロス
「神輿図鑑2 木村喜久男・高橋一郎編」 株式会社アクロス

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