■□■ 原稿 ■□■
料理。食文化。歴史。コラム。メールマガジン。
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原稿『雑学いろいろ』
第2回「どびっくり!これが撮影現場の裏側だ」
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 さてみなさま。料理の雑学。前回はキッチンの整理についての豆知識だった訳ですが、今回は全く別の方向へ話を逸らして、広告的な料理のネタを語りたいと思います。芸能界裏話しみたいな感じで、ちょっとでも興味を持ってもらえるかな、と思ったしだい。だってこ難しい話しばっかりじゃ、読んでて飽きちゃうでしょ(笑)

 よく、TVやポスターなどで、美味しそうな料理を目にしますよね? あれって、どうやって撮影してると思います? もちろん、フードコーディネーターさんやプロの調理人さん達が料理を作って、写真系の場合は、食系撮影専門のカメラマンさんがシャッターを押してる訳ですが。あれらの料理。実は、普通に食べる時と違って、撮影用に色々な手が加えられているんです。

 先ず、もっともポピュラーな所から言うと、ビールの泡。ビールをグラスやジョッキに注ぎ、家で飲んだ事がある人ならわかると思うけれど、ビールの泡って、時間がたてば経つほど消えちゃいますよね。撮影現場は、締っきりだし、ライトの都合でみょ〜に暑い。そんな気温の高い所で、テーブルセッティングの見栄えを調整したり、ビールグラスの角度を直したりしてれば、いざ撮るぞ! と、なった時には、泡なんてどこにもない訳だ。そこでフードコーディネーターさん達は、考える。なんとか泡を作らねば、と。

 私が立ち会った現場のコーディネーターさんは、卵白に塩を1つまみほど加えて作った7部立てぐらいのメレンゲを、スプーンですくってグラスの上に乗せていました。すると、あ〜ら不思議。時間が経っても泡が消えない。しかも、メレンゲなのに、ビールの泡に見えるじゃないですか。なぜ、塩を1つまみなのかと言えば、メレンゲを補強しつつ、照りを押さえるためだそうです。確かに、砂糖を加えて泡立てると、ピカピカツヤツヤになっちゃうもんね。

 続いては、逆に照りを出したいステーキやハンバーグ。私は見た。そして、おったまげた! あれらの料理、実際は完璧にひんやり冷めてます。ポスター撮りの時の話しなので、他の撮影では一概にそうとは言えないけれど、その時のフードコーディネーターさんは、冷えたステーキやらハンバーグやらの上に、ほんのちょこっとコーンスターチを溶かしたサラダ油をハケで塗っておりました。すると、薄い油の膜でコーティングされたステーキたちが、ライティングの光に反射して、今まさに焼いたばっかりのような照りを出すんです。良く考えれば、熱々のステーキ相手では、カメラのレンズが微妙に曇るので、そっちの都合もあるのかもね。で、なぜ、コーンスターチをちょこっと溶かすのかと言えば、上からソースをかけた時に、油とソースが滲まないようにするためだとか。コーンスターチで油に粘り気みたいな物をつけるらしいです。片栗粉は色が濁るから使えないそうな。

 ここまで読んで、なるほどねぇ。と思ったでしょう。現場のみなさん、ホント頭が下がるぐらい良く考えていらっしゃる。でも、こうゆうカルチャーショックなアイデアが出るのも、コーディネーターさんたちが、食材の特性をよく理解しているからだと、私は思うな。日々勉強、精進の道。ぼけ〜っと料理したり、食べたりせずに、私たちも見習わないといけないね。

 今回のお話はこれにておしまい。この手の話し、もっと聞きたいわ〜の場合は、次回以降に時たま披露しちゃいますので、お楽しみに待っててね。 



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