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■揚げ物の定義〜洋食編〜
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@ほまれ<今回は、しゅふしゅふ〜ずの特集用のネタを収集した
時の覚え書きなので、内容はちょ〜っとどころかかなりまじめ(笑)
興味がない人は、眠くなること間違いなしかも(^-^;;;
この手の話が好きな人には、ためになる?かもしれないです。
では、さっそく洋食編のスタート♪
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揚げ物について調べてみた。
色々読んだ中に、朝倉書店『コムギ粉の文化史』という本がある。
その中で、揚げ物の定義を発見したので、抜粋してまとめ、私なり
の注釈をつけた▼

【洋食】

・素揚げ-----そのまま揚げる。
・から揚げ---こむぎ粉などをまぶして揚げる。
・ムニエル---こむぎ粉などをまぶしてバターで焼く。
・フリッター-粉と調味料を水などで溶かした衣をつけて揚げる。
・フライ-----パン粉をつけてバターで焼く叉は揚げる。

----『コムギ粉の文化史』の抜粋ここまで。

上記では、いわゆるバター焼きも揚げ物の1つに分類している。
フライ‥‥はともかく、ムニエルも揚げ物の一種らしい。
と、言うことは、バターは油なのか? という疑問が浮かんでくる。
そこで、私は、洋食の揚げ物で使う「油」そのものの歴史を調べて
みた。

先ず、何をもって洋食とするか、という問題があるが、今回は、古
代ギリシャ、ローマ系から発展したと思われる料理を洋食と定義す
る。

そもそも、洋食の括りの揚げ物の歴史は古く、紀元前590年代に書か
れた粘土版に『油』に関する記述があるようだ。
その粘土版は、古代バビロンの宮殿跡地(イシュタール門)から出
土したもので、ネブカドネザル2世の時代に配給された一日当たり
の油の量が記載されている。

ネブカドネサル2世とは、新バビロニア王国の2代目の王で、紀元
前605〜562年まで在位した王様。アッシリアに続いて、ユダ王国を
滅ぼした人である。彼について更に詳しく知りたい場合は、人名事
典などをひくと、詳しく載っていると思うので、各自調べて下さい
まし。

話を戻して、粘土版に記載されていた『油』。この油は、いったい
何だったのか? と言うと、バターではなく、オリーブオイルだっ
たというのが一般的な定説になっている。
なぜならば、地中海沿岸では、5000年前には、既にオリーブ栽培が
始まっており、オリーブの実から油を取っていたからだ。
が。しかし、当時のバビロニアでは、自国栽培ではなく、オリーブ
オイルは輸入していたとされている。

オリーブオイルの貿易は、古代交易の主要物だったようで、南ロシ
アの商人が、ギリシアの植民地だったポントス(今の黒海の辺)ま
でオリーブオイルの買い付けに来たとか。この貿易によって、食文
化が各地に広がったのは簡単に想像できる話しである。

そして、洋食揚げ物で使われるもう一つの主要な油。バターについ
て。
私たちが考えるバターは、あまり油というイメージがしないが、古
代洋食文化圏では、そもそも、油と言えばオリーブオイルで調理す
る物を指し、バターはあまり使われていなかったようだ。
理由は簡単で、オリーブの生えている地域ではオリーブオイル。生
えて無い地域ではバターを用いており、ここに宗教的な理由が介入
し、オリーブ文化圏とバター文化圏は文化そのものが違っていたか
らだ。

古代ギリシア、ローマ系国家においては、オリーブオイルは、神が
人類に与えてくれたもの、と考えた所が多い。
エジプトでは、オリーブオイルは女神イシスに象徴され、ギリシア
では女神アテナに、ローマでは女神ユピテルがその象徴とされる。
つまり、オリーブオイルは神々によって与えられた物であり、他の
地域(オリーブオイルの生えていない地域)から伝えられたバター
とは、格が違うとされていた。

当時の近代国家の代表格。古代ギリシアやローマでは、バターその
ものの存在を知っていても、彼らはバターをあまり料理に利用して
いなかったという記録が残っている。
その理由を想像するのに有用なのは、プリニウスの記述。

古代ローマの将軍プリニウスは、「バターは蛮族の食料である」と
述べている。彼は、科学本『博物誌』の著者として、博物学者とし
ても名をはせた人物である。従って、彼の『バター=蛮族の食料』と
いう見解は、古代ローマを始めとする、古代の近代都市国家でまか
り通っていたバターに対する共通概念ではないか?と想像できる。

一方。バターを宗教的な意味合いで尊んでいたのは、古代インドの
文化圏になる。食用、というより、そもそもは宗教的な儀式に使用
していたらしく、塗油として使われたり、魔よけの意味合いで食べ
ていた。
ここでいうインド文化圏とはいわゆる仏教圏で、古代中国やチベッ
トなどが同じグループになる。

これらの事から、大元の洋食圏(キリスト教関連系)ではオリーブ
オイル。インドを始めとする仏教圏はバター。と分けて考えられる。
従って、今回調べた『揚げ物〜洋食編〜』に出てくる、揚げ物シリー
ズの中では、ムニエルとフライは、後から洋食揚げ物として加わった
のではないかな? と想像できる。


では、次回の「揚げ物の定義〜中華編〜」でお会いしませう。

ばいばいね〜ん(^-^)/~~~~~

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