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■揚げ物の定義〜和食編〜
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@ほまれ<今回は、しゅふしゅふ〜ずの特集用のネタを収集した
時の覚え書きなので、内容はちょ〜っとどころかかなりまじめ(笑)
興味がない人は、眠くなること間違いなしかも(^-^;;;
では、さっそくスタート♪
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揚げ物について調べてみた。
色々読んだ中に、朝倉書店『コムギ粉の文化史』という本がある。
その中で、揚げ物の定義を発見したので、抜粋してまとめ、私なり
の注釈をつけた▼

【和食】

・素揚げ-----そのまま揚げる。
・から揚げ---こむぎ粉、片栗粉などをまぶして揚げる。
・精進揚げ---菜類に小麦粉などを水で溶いた衣をつけて揚げる。
・龍田揚げ---醤油などのした味を付けた後、澱粉や片栗粉をまぶ
       して揚げる。
・天ぷら-----魚介類に小麦粉などを水で溶いた衣をつけて揚げる。

----『コムギ粉の文化史』の抜粋ここまで。

上記によれば、私たちが『天ぷら』とひとくくりにして食べている
揚げ物料理は、『魚介類=天ぷら』と『野菜類=精進揚げ』にわけて
考えるのが本来の姿だとわかる。

が。しかし。
本の分類では別物になっている「精進揚げ」と「天ぷら」はひと括
りにしてはいけないのかな?という疑問が‥‥。

同じように衣をつけて揚げる、いわゆる『衣揚げ』の両者を区別し
て分類した著者の根拠はどこにあるのか?
『野菜類=精進揚げ』というのは納得できるが、『魚介類=天ぷら』
というのは納得できない。
従って、更に追求して調べてみることにする。
取っ掛かりがわからない時は、先ずは語源から入るのが私の調べ方
なので、今回も語源から。

「天ぷら」の語源には、諸説があった。全て上げると切りがないの
で、今回は代表的なものを2つ紹介。

1.イタリア語、スペイン語の「Tempora」説。

 この説によれば、Temporaとは「天上の日」というのが大元の意
味になる。この天上の日には、獣鳥肉は口にせず、魚肉を中心に食
べた事から、天ぷらとは魚料理の名前になったもよう。

2.ポルトガル語「Tempero」説。

 この説によれば、「調理」というのが大元の意味になる。

なるほど。1の説を取れば、『魚介類=天ぷら』だというのが、何
となく納得できる。
そして、更に裏を取るべく、日本の書物に天ぷらという文字が記録
された時代について調べてみた。
調べた理由は、書物に「天ぷら」が出て来た時に使用していた食材
を知りたかったから。

天ぷらは『天麩羅』叉は『天婦羅』と書くが、この漢字はただの当
て字で、語源的には関係ない。
日本で初めて『てんぷら』という名前が記録に出て来たのは、1672
年刊行の「料理献立集」だと言われている。
江戸料理研究の関連書籍によれば、「炒り鳥の取合」という料理の
部分にある「てんぷらり」という記述がそれらしい。
始めは「てんぷらり」と「り」の字がついており、ここでの食材は
『とり肉』で、たぶんミンチ肉を使用していたと思われる。

次に、「り」の字が取れ「てんぷら」になったのは何時の頃か定か
でないが、1748年刊行の「歌仙の組糸」という本の10月の献立の部
分に、「鯛切り身てんぷら」というのが載っている。
ここでの食材は『鯛=魚』である。

ついでに、記録には残ってないですが、江戸幕府を開いた徳川家康
がカヤの油で揚げた鯛の天ぷらを食べて食あたりし、そのまま病死
してしまった、という話が残っている。
ここでの食材もやっぱり『鯛=魚』である。

以上の事から、日本の伝統?的にも、『魚介類=天ぷら』というのが
ポピュラーな考え方のようだ。
やっと納得。ねちっこく調べるのが私の特徴なのだわ〜(笑)

では、次回の「揚げ物の定義〜洋食編〜」でお会いしませう。

ばいばいね〜ん(^-^)/~~~~~

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