■第34話:『なつかしの山へ』

 ▲ハイジはフランクフルトを離れ、アルムの山へ帰ることになる。セバスチャンに連れられ汽車に乗って帰途につく。ハイジの気持ちは、アルムへ帰れる喜びが半分、そしてクララやおばあさまとの辛い別れの悲しさが半分という複雑なものだった。しかし汽車はそんなことにはお構いなしに刻一刻とスイスへと近づいて行く。

 ▲汽車は1日半をかけやっと懐かしいスイスの村に到着する。デルフリ村、アルムの山々、何もかもあの日初めてやってきたときと同じ姿でハイジを迎えているようであった。はやる気持ちのままハイジは、ペーターのおばあさんにまず会いに行く。

突然現れたハイジにおばあさんは大喜びする。そして再びハイジに出会えたことを深く神様に感謝するのだった。ハイジはおみやげの白パンをさっそくおばあさんに食べさせる。「私は白パンが食べられることよりも、ハイジがずっと山にいてくれることの方がうれしいんだよ」とハイジの白パンを噛みしめながら、おばあさんはハイジを何時までも抱きしめるのだった。

 ▲喜びの再会を果たしたハイジは、いままで着飾っていた服を脱ぎ捨てる。その姿は初めてこの山にやって来たときとまったく同じ風であった。「こんな格好じゃ、おじいさん私だって分からなくなるわ」そう言うと一目散におんじの小屋に駆け出して行く。そして次第にあの小屋、そしてヨーゼフやおんじの姿が見えてくると、ハイジはこらえていた涙を流しながらおんじに飛びついていく。

おんじももう二度とは帰ってこないと思っていたハイジが、まったく自分の知っているハイジそのままで現れたことがまるで夢の様に思えてならなかった。だがこうして自分にしがみついて泣いているのは紛れもない本物のハイジだと実感できるのにはそう時間はかからなかった。