イタリアのアグリ・ツーリズモ

アグリ・ツーリズモって何だろう。

 ヴァカンス旅行というと、過密スケジュールに追われながら名所旧跡を忙しく駆け回って疲れ切ったという経験はありませんか。
または、非日常的さを売り物にした大型リゾート滞在の場合には、大資本によるリゾート開発が、環境破壊をおこすのではないかと心配されます。

 日本でも、余暇に対する様々な欲求が高まって来て、従来の都市観光ばかりでなく、自然保全意識の高まりに合致した旅行に対する関心が高まって来ています。
名所旧跡の観光ばかりでなく、休養しながら自然に親しめ,土地の人達と親しみ、さらには、旅行者同志も親しめる、そんなゆったりとしたカントリーライフを満喫する旅を求めている方も多いのではありませんか。

 その難しい要求に応えられるのが、アグリ・ツーリズモなのです。
少し堅くなりますが、ここでちょっと、イタリアのアグリ・ツーリズモについて述べてみましょう。

 アグリツーリズモは、英語で言えばファームステイにあたります。ヨーロッパでは,グリーンツーリズムとも呼ばれて、ドイツやフランスでは以前から盛んでした。イタリアでは1985年にアグリ・ツーリズモ法が決議されてから、農水省や地方公共団体でも、本格的にアグリ・ツーリズモをバックアップをするようになりました。

 ファームステイの本来の意味は、農家に労働力を提供するかわりに、安い料金で滞在させてもらう事を意味していますが、イタリアにおけるアグリツーリズモは、もっと広い意味合いでの田舎でのヴァカンスを意味しています。
 農家で体験型の滞在をすることばかりでなく、イギリス風のB&Bや、田舎の自然に親しみながらスポーツを楽しむこと、田舎のレストランで食事すること、地元の特産品を現地で買うこと、農家の離れ家にアパートを借りて自炊すること、田舎の一軒屋を借りて長期滞在することなどのすべてを、アグリツーリズモとしてとらえているのです。

 アグリツーリズムによって、農家は低迷している農業からの収入を補うことが出来ます。さらに農村はこれまで、都会に農産物や都市労働者を送り出すだけの一方通行だったが、アグリツーリズムの発達によって、都会の人々が田舎に出掛けるという、双方向が生じて来ます。さらに、観光客へのサービス業者の需要も生まれて、農村から都市への人口流出に歯止めをかけることも出来るのです。

 従来のアグリ・ツーリズモではファームツーリズムとして、農家がその担い手となっていましたが、現在では必ずしも農業従事者とは限りません。農家の他に、牧場や農園の経営者だったり、時には都会の人が自然を生かした宿泊施設を作っている時もあります。農業従事者の宿と、非農業従事者の宿の持つ個性のハーモニーが、アグリツーリズモに一層のヴァリエーションをかもし出しているのです。

 ただアグリ・ツーリズモを利用する時は、お金を払って観光サービスを受けるという、従来の都市観光と違うことを、はっきりと認識しておかないと、期待を裏切られてしまうことになりかねません。
あくまで基本的には、農業従事者が日常の営みの傍ら、自然に親しみたい都会の人々を自分の生活の中に招き入れて、田舎の自然の恵み(自然の営み、自然がもたらす産物、自然の中での労働)を満喫させてくれるものなので、その点を忘れないで、農業従事者の生活を尊重する気構えが必要です。これは、日本の民宿に対する時の、エチケットと全く同じですね。

 また、日本でもグリーンツーリズムの振興が叫ばれていますので、田舎で観光業に携わってみたいと思っている方は、1度イタリアのアグリ・ツーリズモを視察に行かれると役に立つでしょう。

 イタリアの場合は、ご存知のように、文化遺産と歴史遺産の宝庫ですから、アグリ・ツーリズモによる田園ヴァカンスと、名所を回る観光旅行を同時に楽しめるのが、何と言っても強みです。また、イタリアの食事のおいしさやイタリア人のもてなし上手には、定評がありますので、あなたの求めているヴァカンスがきっといっぱいつまっていること請け合いです。

今回はアグリ・ツーリズム論だけで終わってしまいましたが、次回はもっと具体的に、楽しい情報にしたいと思います。